チラシにフライヤー、リーフレットにビラにPOP…紙を使った宣伝物には、様々な用語がありますよね。でもこれらの「違い」を知っていますか?ポスティング等を使った宣伝をより上手に行うために、まずはチラシの種類や違いを知っておきましょう。

ここではリーフレットやフライヤー等の意味や歴史、特徴等を詳しく解説していきます。

目次

チラシとは何?意味や特徴・宣伝効果

「散らす」からチラシ?チラシの語源・歴史

日本におけるチラシの歴史は古く、研究によっては室町時代後期~安土桃山時代頃には宣伝に用いられてきたと言われています。その頃のチラシの配り方は、太鼓や笛・大声等で人々を呼び集めたり練り歩いたりしながら、宣伝を書いた紙を「まきちらす(紙を周囲に投げる)」というものでした。

周囲の客に向かって紙を「散らす」ことから「ちらす=チラシ」という言葉が生まれたようです。江戸時代には宣伝の代表的な方法となり、現代でも様々な方法で配布されるマーケティング方法として根付いています。

現代用語の「チラシ」の意味

現代の日本では、チラシは以下のような意味で用いられます。
新聞折込チラシ
ポスティングされる配布物という意味
宣伝・マーケティングのための配布物の総称

チラシの特徴・他との違い

「新聞折込チラシ」という配布方法がある

「新聞折込」というチラシの配布方法は、大正時代(1922年)に始まりました。折込チラシという名のとおり、新聞折込は新聞配達の各事業所で毎日の新聞に折り込まれるようにして配達されます。現在でも「詳しくは明日の新聞折込チラシで!」といったフレーズをよく聞きますね。

ポスティングされる配布物の総称として使われる

各戸のポスト(郵便受け)に宣伝用の配布物を入れる「ポスティング」という手法が日本で根付いたのは、昭和に入ってからです。ポスティングでは一般的な紙タイプのチラシの他、ポケットティッシュ・マグネット等が配られることも。これらの配布物もまとめて「チラシ」と呼ばれることがあります。

紙ベースのマーケティングの総称として使われる

マーケティング業界では、この後ご紹介する「リーフレット」や「ビラ」等もまとめて「チラシ」と呼ばれます。またポスターよりも小さめの掲示物を「チラシ」と呼ぶことも。一般的に、紙をベースにした宣伝の総称として「チラシ」が使われることが多いです。

チラシに使われる紙サイズ

新聞折込チラシの場合には、新聞に合ったサイズが求められるため、一般的に紙サイズは「A4」もしくは「B4」が選ばれることが多いです。あまり変則的なサイズは、新聞折込チラシには使うことができません。

その他、ポスティングや手配り等の場合には、サイズ規定は一切ありません。自由なサイズでチラシを作成することができます。またプラスティック製の袋に入れたり、封筒に入れたりといったスタイルを選ぶこともできます。

チラシに使われる紙の厚み

新聞折込チラシの場合、紙の厚みによる料金規定が厳しいです。一般的に四六版110キロ以上の厚みの紙は「厚紙」とカウントされ、配布にあたっては別料金が必要となります。そのため四六版B70キロ~90キロ前後の紙を使用するケースが多いです。

ポスティングの場合の料金の扱いは業者に異なりますが、料金変動の要素は「サイズ」のみで、「厚み」では料金は変わらないという業者も少なくありません。そのため新聞折込に比べると、厚みのあるチラシを制作するケースも多く見られます。また手配り・置型チラシの場合も自由度が広いです。

チラシはどんな業種・業態で使われる?

・小売業
・飲食業
・不動産
・美容関連
・商業施設 等

このほか、チラシは幅広い業種・業態の宣伝に用いられます。

チラシの配布方法・宣伝方法

・手配り
・新聞折込
・ポスティング
・置型
・掲示型 等

 
チラシは配布方法・宣伝方法も幅広いです。手配りしているチラシをそのまま掲示板等に貼って、ポスター代わりの宣伝物として使用することもあります。

チラシ宣伝のメリット

特にポスティングによるチラシ宣伝は、配れるチラシサイズも形態も自由度が高く、自店舗や商材に合わせた宣伝を行うことができます。

フライヤーとは何?意味や特徴・宣伝効果

飛ぶから「フライ」?フライヤーの語源・歴史

「人の手で撒く」という宣伝方法から始まった宣伝の歴史ですが、近代では「宣伝用の紙をヘリコプターやセスナ等の飛行機から撒く」という方法が取られるようになりました。ヘリやセスナが飛べば目立ちますし、そこから振ってきたものを見てみよう…という気にもなりやすいですよね。この手法は欧米だけでなく、一時期では日本でも盛んに取り入れられています。

ヘリ・セスナ等の飛ぶもの(Fly)から撒かれるため、このような宣伝物は「Flyer=フライヤー」と呼ばれるようになりました。

現代用語の「フライヤー」の意味

現代の日本では、フライヤーの意味合いは元々の「空から撒くもの」から大きく変化し、英語とは異なる意味を持つようになっています。以下のような場合に「フライヤー」という言葉が用いられることが多いです。
ショップの宣伝物
イベントの宣伝物
デザイン関連・デザイン業界における「チラシ」の総称

フライヤーの特徴と他との違い

ファッション性の高いショップ・イベント向けの宣伝物

フライヤーは一般的に、オシャレに敏感な若年層や女性層に好まれるショップの宣伝物として使用されます。また、若者が多く集まるクラブ等のイベント告知等の宣伝物も「フライヤー」と呼ばれることがほとんど。この他、映画の宣伝、コンサートの宣伝物等もフライヤーという名称が使われることが多いです。

スタイリッシュなデザイン

上記のような特徴から、フライヤーは一般的な「チラシ」に比べてよりスタイリッシュなデザインが求められます。情報量よりもパッと見た時の「デザイン性」が重視されやすいです。

置型宣伝が多い

ショップのレジ横に置かれる等、顧客が選んで持っていく「置型(プルタイプ)」が配布方法としてよく用いられます。

フライヤーに使われる紙サイズは?

フライヤーは一般的なチラシに比べて、小さめサイズ(A5、A6等)が用いられることが多いです。これはプルタイプ(置型チラシ)として用いられることが多いためと考えられます。レジ横等の店舗で占める面積を減らす効果を狙って、小さめサイズが好まれるというわけですね。

フライヤーに使われる紙の厚みは?

カフェ・サロン・アパレル等の高級感を重視するショップの場合、厚手コート紙や厚手マット紙等の高級感のある紙質を選ぶ傾向が見られます。

フライヤーはどんな業種・業態で使われる?

・カフェ
・アパレルショップ
・ネイルサロン
・インテリアショップ
・若者向けクラブイベント
・若者向けフリーマーケット等のイベント 等

フライヤーの配布方法・宣伝方法

・置型(プルタイプ)
・同梱型
・手配り
・掲示

 
イベントによっては「手配り」や「掲示」が行われることもありますが、最も多いのは置型です。またアパレルショップ等の場合、ポストカードサイズのフライヤーを購入済みの製品と一緒に同梱するケースも見られます。

フライヤー宣伝のメリット

ショップや商材に対する「オシャレなイメージ」を印象付けさせ、好感度をアップさせることができます。また若年層の集客を徹底して行いたい場合には、やはり「フライヤー感」を意識した宣伝を行った方が良いでしょう。

リーフレットとは何?意味や特徴・宣伝効果

葉っぱが語源?リーフレットの歴史

リーフレットの「リーフ」とは、英語では元々「leaf=葉っぱ、若葉)」のこと。この「小さな葉のようなイメージ」「一枚の葉のようなイメージ」から、欧米では折込チラシやビラ等、チラシの総称が「leaflet(リーフレット)」として呼ばれるようになりました。

日本で用語が根付いたのは比較的最近であり、そのため英語と日本語の「リーフレット」では用語の意味合いが大きく異なります。

現代用語のリーフレットの意味

現代の日本では、リーフレットは以下のような意味で使われています。
一枚刷りで二つ折り・三つ折り等のタイプのチラシ
小さいタイプのパンフレット・折タイプのパンフレット
高級感のあるチラシ

リーフレットの特徴・他との違い

一枚刷りで「本」のように綴じていない

一般的に「パンフレット」は、複数枚の紙をホチキスなどで綴じて、本のような形にした宣伝物のことを指します。これに対して「リーフレット」は、一枚の紙を使っているのが特徴です。

二つ折り・三つ折り・観音折り等になっている

新聞折込チラシ等のいわゆる「チラシ」がペラっとした一枚型なのに対して、リーフレットは二つ折り・三つ折り・観音折り・Z折り等の「折り」を入れます。開くタイプのメニュー表のような形をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。

保存性が高い

リーフレットは一般的なチラシに比べて長期保存されること、じっくり読まれることを考えて作られることが多いです。

リーフレットの紙サイズは?

B5サイズを二つ折り、A4サイズを三つ折り等、A4~B6程度のサイズが選ばれることが多いです。紙サイズだけでなく、折り方によっても仕上がりサイズが変わるため、仕上がりイメージ・展開イメージをきちんと確認することが大切です。

リーフレットの紙の厚みは?

折加工をしっかりと付けること、保存性を重視すること、高級感をアップするため…といった意味から、リーフレットでは一般的なチラシより厚手の四六版110キロ(厚さ0.10~0.16mm前後)程度の紙が使われることが多いです。

あまり薄手の紙を使うと、せっかく折りを入れたリーフレットでも高級感がなくなる他、傷みが早くなり、保存性も失われてしまいます。

リーフレットはどんな業種・業態で使われる?

・デリバリー、宅配弁当
・企業PR
・美容サロンのメニュー表
・学習塾、習い事
・福祉施設
・旅館・ホテル等の宿泊施設 等

高級なイメージを重視する宿泊施設やサロン等では、リーフレットは好まれます。また学習塾や老人ホーム等、選択にあたってある程度時間がかかるタイプの施設の宣伝にも保存性のあるリーフレットが集客効果が高いと言われています。

リーフレットの配布方法・宣伝方法

・置型(据え置き型)
・ポスティング
・郵送 等

 
高級感があるリーフレットは、ホテル等の施設のカウンターに置かれたり、DM(ダイレクトメール)に封入するスタイルにも向いています。またデリバリーピザ等の宣伝では、リーフレットタイプのメニュー表をポスティングする手法が一般的です。

リーフレット宣伝のメリット

長期間家庭に置かれることで、店舗や施設名等を覚えてもらえたり、サービスを熟考してもらえる可能性が高まります。パンフレットに比べて制作費がかからず、それでいて高級感をアピールできるのも魅力です。

ビラとは何?意味や特徴・宣伝効果

ビラビラだから「ビラ」?ビラの語源・歴史

「ビラ」という言葉の語源には諸説ありますが、「ビラビラとした紙片(紙切れ)だからビラ」という説が有力であるようです。19世紀前半に発売された式亭三馬作の滑稽本には「びら」という言葉が使われており、江戸時代には「ビラ」という言葉はすでに根付いていたことがわかります。

元々の意味合いは「チラシ」とほぼ同じと考えて良いようですが、江戸時代には「ポスター」に近い掲示物にも「ビラ」という言葉が使われていました。

現代用語の「ビラ」の意味

一枚刷りのチラシ(一般的なチラシと同じ意味合い)
政治関係の印刷物・宣伝物
電柱等に貼っている簡易な宣伝物

ビラの特徴と他との違い

政治系の用語・選挙用語として使われることも多い

「チラシ」と「ビラ」はほぼ同じ意味合いなのですが、平成に入ってからは「ビラ」という言葉はあまり使われなくなってきています。しかし現代でも根強く「ビラ」という言葉が使われるのが、政治の世界です。選挙活動用のチラシやパンフ等を指す選挙用語として「ビラ」はよく登場します。

掲示物は「ビラ」と呼ばれやすい?

昭和の頃には、掲示板の他、電柱や住宅の壁等に宣伝物を貼るスタイルのマーケティングも多く行われていました。現代の「ポスター」に比べると、もっと簡易でシンプルなスタイルの掲示物です。

これらの掲示物は簡単に貼られて下側が風にふかれると「ビラビラ」とするせいか、やはり「チラシ」ではなく「ビラ」と呼ばれることが多い傾向です。

「安価なチラシ」というイメージも?

上記のような「昔の宣伝」のイメージが強いせいか、ビラには「紙が薄手」「単色刷り」「手書き」といった比較的安価なスタイルの宣伝物というイメージを持たれる傾向も見られます。

ビラの紙サイズは?

「チラシ」と同等の意味合いとして使われる場合、ビラの紙サイズには特に制限や決まりはありません。

ビラの紙の厚みは?

一枚刷りチラシの「ビラ」としては、四六版70キロ前後、コピー用紙くらいの厚みの紙か、より薄手の紙が選ばれることが多いです。ただし選挙活動等のビラの場合には、もっと高級感のある厚手コート紙が選ばれることもあります。

ビラはどんな業種・業態で使われる?

・政党、政治家の政治活動・選挙活動
・不動産(マンション・戸建ての掲示宣伝) 等

ただし一般的な「チラシ」と同義として扱う場合には、小売業や飲食業等、幅広い業種・業態の宣伝に「ビラ」は使われています。

ビラの配布方法・宣伝方法

・手配り
・掲示
・ポスティング 等

 

ビラ宣伝のメリット

薄手で小さめサイズの「ビラ」の場合には、コストをあまりかけずに宣伝が行えるのがメリット。また配布以外に「掲示」という宣伝スタイルを取ることで、より多くの人の目に止まる可能性も高まります。

POP・ポップとは何?意味や特徴・宣伝効果

ホントはポップじゃない?POPの語源と歴史

POPとは、英語の「Point Of Purchase Advertising」(ポイント・オブ・パーチェス・アドバタイジング」を省略した言葉です。

「ポイントオブパーチェス」とは、直訳すると「購買時点」という意味で、「アドバタイジング」は「広告メッセージ」といった意味。つまり「売り場内の広告」を指すのが、「POP」なのです。

欧米の宣伝業界で生まれた言葉で、本来は「ピー・オー・ピー」と呼ぶのが正式。しかし日本では呼びやすいせいなのか、「ポップ」という呼称が根付いています。

現代用語の「POP(ポップ)」の意味

売り場内の宣伝物の総称(ポスターやタペストリ、プライスカード等含む)
商品説明用のカード
プライスカードや値札

POPの特徴と他との違い

売り場全体の宣伝物を指す

「売り場での宣伝物」という意味のとおり、POPは店内のすべての宣伝物・広告物のことを意味します。

【POPの例】
・ポスター
・卓上スタンド
・パネル
・のぼり
・タペストリー
・プライスカード、値札
・商品説明用カード
・据え置き型フライヤー
・据え置き型リーフレット 等

上でご紹介した「リーフレット」などが紙製品を指す言葉だったのに比べて、「POP」は紙製品にとどまらず、非常に広い範囲の宣伝物を指しているのです。

ハンドメイドも多い

一般的なチラシやリーフレットは、印刷業者に依頼をし、何百枚・何万枚と印刷をするものです。ところが商品カードや値札カード等の場合、POPはショップスタッフが手書きをしたり、手作りをするケースも多く見られます。

POPの紙サイズは?

店舗据え置き型のリーフレットやフライヤーを「POP」に含める場合、サイズは比較的小さめのもの(A6サイズ等)が選ばれることが多いです。これは売り場面積が定められているため、面積を圧迫しないものが好まれるためですね。

POPの紙の厚みは?

商品説明カード、雑貨店等のプライスカード等の場合には、長期的な展示が見込まれるため、四六版135キロ以上(0.13~0.19mm以上)の厚手の紙が好まれます。

またポスター等の掲示物についても、比較的厚手の高級感のある紙が使われる傾向です。ただしスーパーの値札等の場合には、頻繁な入れ替えが必要になるため、もう少し薄手の紙が使われることもあります。

POPはどんな業種・業態で使われる?

・雑貨店
・書店
・スーパーマーケット
・ドラッグストア
・コンビニエンスストア
・ヘアサロン
・ネイルサロン
・エステサロン
・飲食業 等

実店舗があるスタイルの業種・業態では、POPによる宣伝は必須と言えます。

POPの配布方法・宣伝方法

・掲示型
・据え置き型

 

POP宣伝のメリット

書店やスーパー等、接客販売が難しいスタイルの店舗でも、POPを使えば商材の魅力を知らせることができます。POPを上手に使うことで、売上を30%以上伸ばすケースも見られるほどです。

おわりに

チラシの様々な種類と違いはいかがでしたか?商材や店舗のイメージに合った宣伝物を選ぶことで、ポスティング等の宣伝による集客効果はよりアップします。リーフレットにするか?フライヤーが合っているのか?どの手法がマッチしているか、じっくりと選んでみましょう。