ポスティング等を使った「チラシによる宣伝」は、現在も有効な宣伝手段として様々な業種・業態で使われています。しかしチラシ宣伝は「とにかくチラシを作って撒けば売れる」というものではありません。売れるチラシ・反響の出るチラシを作るには、欠かすことができないポイントがあるのです。

ここではチラシ宣伝で反響を出すために知っておきたい「売れるチラシのコツ」を、6つの側面から解説していきます。

誰に読まれたい?ターゲットを決めよう!

チラシ作りを始める前に行いたいのが、「ターゲット」の選定です。ここでいう「ターゲット」とは、製品を買って欲しい人、お店に来て欲しい人のこと。ターゲットの選定とは、カンタンに言えば「誰にチラシを読まれたいか?」をハッキリさせるということになります。

ターゲットの無い「平凡チラシ」はNG

「誰でもいいから集客したい、ターゲット選びなんて不必要」と考えていませんか?しかし「全員にウケたい」という想定で作られたチラシは、凡庸でインパクトの無い宣伝になりがちです。以下の例を見てみましょう。

A例:ターゲット選定無し
キャッチコピー「厳選豆だからおいしい!みんなが好きになるコーヒー」

B例:ターゲット層は30代~50代の男性
キャッチコピー「爽快なキレで目を覚ませ。働く男のためのコーヒー」

同じ製品の宣伝ですが、A例を読んで「このコーヒーを飲みたい」と思うでしょうか。読者は味の特徴もよくわかりませんし「自分に向いたコーヒーかどうか」の判断もできません。つまり誰からも興味を持たれない=チラシ等の宣伝の反響が上がらないということになります。

ではB例を、ターゲット層の男性が読んだとしたらどうでしょう?働き盛りの男性は疲れがち。頭をコーヒーでシャッキリさせたい…というニーズを持つ人も多いことでしょう。コピーだけでも「ピンとくる層」がいるわけです。

「自分にピッタリそうだ」と感じる宣伝を見たターゲット層は、スムーズに「この製品を選ぼう」と考えやすくなります。誰もつかめないA例に対して、B例は特定層の心をガッチリと掴むことができるわけですね。

ターゲットの属性を絞り込む

では実際にターゲットの選定(ターゲティング)を行ってみましょう。宣伝ターゲット層は、以下のような属性から絞り込んでいきます。

【ターゲットの属性例】
・性別:男性/女性
・年齢層:20代、高齢層、アラサー等
・収入層:富裕層、年収600万クラス等
・家族構成:一人暮らし、子どもの有無、二世帯暮らし等
・ライフスタイル:インドア/アウトドア等
・嗜好:ナチュラル志向、派手好き等
・悩み・興味関心:美容・レジャー
・地域:都会暮らし/郊外 等

<<例>>
30代女性、都心部で一人暮らしのOL。年収400万台で自分磨きが好き。体の疲れが取れにくくなってきたのが悩み。
40代男性、郊外一軒家で妻・小学生の息子と3人暮らし。子供と触れ合う時間が少ないのが悩み。アウトドアが好き。等

ターゲットの属性は、宣伝したい商材・製品の特徴から選ぶのが基本。また「こんなお客さんに店に来て欲しい!」という『理想の顧客像』から絞り込むのも手ですよ。

 

チラシの「写真」「イラスト」にこだわろう!

ポスティングされたチラシを必ずすみずみまでジックリと読む!という人は、残念ながらほぼいません。多くの人はチラシをザッと眺め、それ以上読むか、読むのをやめるかを即座に判断しています。

その時間はわずか1秒~2秒!この短時間で「このチラシは良さそうかも」と思わせれば、チラシの反響率アップに繋がるわけですね。チラシを手にとった人が無意識に最初に見るのは、チラシの写真やイラスト等の「画像」、そしてキャッチコピーです。チラシ反響率アップのために、まずは「写真」や「イラスト」等の画像にこだわってみましょう。

「何のチラシか」がすぐわかる?

前述のとおり、読者はチラシを読むか読まないかを「すぐに判断したい」と考えています。業種や製品がハッキリしないチラシは「もういいや」と判断され、読まれません。

「何を売りたいチラシか」「何の店なのか」…商材や業態・業種が0.1秒で読者に伝わるような画像選びをしましょう。

<<例>>
・飲食店の場合 → 料理の写真を掲載する
・痩身エステサロンの場合 → 痩せた女性のビフォアアフター画像を掲載する
・大人向け英語教室の場合 → 外国人教師とマンツーマンの授業風景 等

「欲求」を湧かせられる?

「欲求」とは、読者側の「これが欲しい!」「これ食べたい!」といった心理のこと。「食欲」等の生理的欲求が有名ですが、「キレイになりたい」「安定したい」「成長したい・変わりたい」といった気持ちも欲求に含まれます。

このような欲求を掻き立てる画像をチラシに掲載すれば、読者の「買いたい!」という気持ちを高められ、チラシの反響率が上がるのです。

<<例>>
・食事の写真の場合→湯気を立たせる、チーズのとろける様子を見せる、肉汁を溢れさせる、テリを良く見せる
・マンションの写真の場合→明るい青空と対比させる、近隣の公園や海の写真を入れる
・化粧品の写真の場合→製品のフタを開けクリームの質感を見せる

「光」や「動き」のある写真を取り入れると、読者は食欲等の欲求を強く掻き立てられます。「商品を見せる」ということだけにこだわらず、消費者から見て魅力的に感じられる写真・画像を用意しましょう。

 

心を掴む「キャッチコピー」を作ろう!

「コピー」とは、チラシの中の謳い文句や煽り文句のこと。中でも重要となるのが、一番目立つように置かれる「キャッチコピー」です。「キャッチ(つかむ)」という言葉が使われているとおり、キャッチコピーは「顧客の心を最初につかむ」という役割を果たします。

つまりキャッチコピーが優秀かどうかで、チラシが読むか読まれるかが決まるというわけです。チラシの反響率を上げるためには、キャッチコピーの内容・魅せ方をしっかりと練り込む必要があります。

文字数は少なめにしよう

「製品や店舗の魅力を色々知ってほしいから…」と、長すぎるキャッチコピーを付けていませんか?前述のとおり、チラシを手にとった人はジックリとはチラシを眺めません。ササッと目を通したときに「良いな」「もっと読もう」と思ってもらうためには、短めのキャッチコピーの方が有効なんです。

一般的に、人間が2秒で読めるのは10文字~15文字前後、3~4秒で20文字程度と言われています。できれば15文字以内でコピーが作れれば理想的というわけですね。とは言えインパクトがあるキャッチコピーであれば、20文字前後でも良いでしょう。

読者に語りかけてみよう

キャッチコピーの作り方の一つに、「語りかけ方式」があります。読者に直接語りかける・問いかけるような文体を用いることで、チラシ読者の注目を引く方法です。

<<例>>
・離婚したいと悩んでいませんか?
・洗顔石鹸はどれも同じと思っていませんか?
・痩せるのは無理…その思い込みを捨てましょう

「~してみませんか?」「~してみましょう」といった語りかけ・問いかけ文を使われると、読者側は無意識のうちに「自分に言われている」という感覚を持ちます。

内容を理解しようと考え、チラシ内容をしっかりと読み込んでくれるのです。

読者の心を揺さぶってみよう

あえて否定的な言い方をしたり、相手を驚かせる言い方で、チラシを目にした人の注目を集めてみるのも手です。

<<例>>
・エッ!?まだ普通の青汁飲んでるの!?
・スリムな人は見ないでください!
・脚痩せするのは「エステ」じゃない!?

今までの常識をくつがえすような文章や、「~しないで!」といった否定の言葉が入ると、人間は「どうして?」と驚き、「なんで?」とその原因を知りたがります。ボディコピー等の説明文本文までを読んでもらいやすく、チラシ反響率も上げやすいのです。

スペック・数値で信頼感をアップ

商材のスペックや実績を「数値」としてあらわすのも手。数字がコピーに入っていると、キャッチコピーに対する信頼度がアップします。

<<例>>
・3ヶ月でウエスト-8センチダウン!
・8秒に1本売れているシャンプーです
・南神奈川地区で21年の実績!

 

読まれやすい「チラシデザイン」を意識しよう!

チラシの全体的なデザインでは、「目立つ」ということだけでなく「読みやすさ」を重視することも大切です。パッと見て「読みにくそう、読むのに時間がかかりそう」と思われては、チラシ反響率は上がりません。「わかりやすそう」「すぐに読めそう」と感じられるチラシデザインを意識しましょう。

フォントを使いすぎない

字体(フォント)を何種類も使いすぎるのはNG。あれもこれもとフォントを使うと、全体的なまとまりが無い印象になります。最大でも3種類くらいまでに抑えましょう。

段落ごとに「見出し」を入れる

説明文を入れる時には、段落(文章の一つのかたまり)毎にタイトル(見出し・中見出し)を入れるようにしましょう。それぞれの見出しでは、段落の文章の内容を的確に要約してください。

見出しをサッと読んだだけで、チラシの内容をおおまかに把握できるようにするのが理想的です。

視線の「動線」を意識する

チラシを読む時の人間の目の動きには、一定の法則があります。この法則を意識しながらチラシをデザインすることも大切です。

横書きの場合:左上から右下へ、アルファベットの「Z」のように読む
縦書きの場合:右上から左下、アルファベットの「N」のように読む

もっとも読んで欲しいキャッチコピーや、強く印象づけるような画像は「左上」「右上」等の目立つ箇所に配置しましょう。

 

「特典」を付けてチラシ反響率をアップ!

チラシの反響を大きく左右するのが、「特典」の存在です。この「特典」とは、例えば割引クーポン等のこと。上手に「特典」を付けることで、チラシの反響率を10倍以上に伸ばすこともできるんですよ。

チラシを読ませる「惹き込み効果」

チラシ上部等の目立つ位置に「特典あり」と知らせるだけで、チラシを手にとった人は「チラシを読むとトクができそう」=「チラシを読もう!」と感じます。手軽に読者を増やせる大きな要素となるのです。

「チラシ限定」のオトク感

「このチラシを読んだ(持ってきた)人だけ」というチラシ読者限定の特典を設けることで、チラシ読者に「自分たちだけがトクをできる!」という優越感を与えられます。「他の人よりもトクができる」というのは、消費者にとって大きな魅力。購買・来店といったアクションに結びつけやすいのです。

来店・購買時期をコントロールできる

特典を得られる時期を限定することで、消費者は「今しかトクができない」=「早めに買おう(店に行こう)」と考えます。「今月中に新規顧客を増やしたい」等、来店・購買等のアクションを経営者側がコントロールできるのです。

業態・業種に合わせた特典を

特典・オファーは、必ずしも製品の割引ばかりとは限りません。以下のような「特典」を設けることもできます。

<<チラシに付ける特典の例>>
・粗品・プレゼント進呈
・ドリンク1杯サービス
・グレードアッププラン無料
・サイドメニュー無料サービス
・1時間追加無料サービス 等

業種や業態に合わせ、顧客が「魅力的!」と感じるような特典を設けてみましょう。特に新規オープン・リニューアルオープンの時等、オープンチラシを制作する場合には、強い「オトク感」が感じられる特典を用意することが大切です。

 

「レスポンスデバイス」を忘れずに

チラシ反響率を上げるためには、チラシの「レスポンスデバイス」の記載を見直すことも大切です。レスポンスデバイスとは、申込先や問い合わせ先・来店先等のこと。例えば店の電話番号や住所といったものですね。顧客の反響(レスポンス)をしっかりと得るためには、これらのレスポンスデバイスの書き方にも注意する必要があります。

レスポンスデバイスの優先順位を付ける

チラシに掲載すべきレスポンスデバイスには以下のようなものがあります。
店舗住所
営業時間
電話番号、FAX番号
メールアドレス
公式ホームページのURL
店舗の地図
ツイッター等、SNSのID 等

しかしこれらの情報を、同一の文字の大きさでただズラズラと書いておくだけではNGです。顧客にどのレスポンス(行動)を起こしてほしいのかをハッキリとさせ、掲載情報に優先順位をつける必要があります。

【例】
・電話申込が欲しい場合 → 電話番号をもっとも大きく掲載し、電話受付時間もわかりやすく表示する
・直接来店して欲しい場合 → 店舗の地図と営業日・営業時間を大きく掲載する
・来店前に予約メールが欲しい場合 → メールアドレスを大きく掲載する

顧客にどの行動を取って欲しいのか、メインとするべき情報はどれか…キチンと優先順位を付けてチラシに情報掲載をしていきましょう。

客の「面倒さ」を取り除こう

経営者側が考えるのに比べて、お客さんは「面倒くさがり」で「臆病」です。ちょっとした面倒や不安があると、購買や来店を止めてしまいます。お客様の不便や不安を取り除いてあげることも、チラシのレスポンスデバイスの役割です。

【例】
・公式サイトにアクセスしてほしい → URLに加えて、Googleの検索ワードとQRコードを載せる
・ターゲット層が高齢者層である → 申込方法に電話・メール以外に「切り取り型はがき」を加える
・予約メールを送って欲しい → 「メールのタイトル」「予約時の記入項目」をわかりやすく説明する 等

「客のほんの少しの手間」を省いてあげることで、チラシの反響率は変わってきます。

 

おわりに

売れるチラシ・反響の出るチラシの作り方のポイントはいかがでしたか?同じ製品・同じサービスの宣伝でも、キャッチコピーや画像選び・チラシデザイン等に工夫をするだけで、チラシの反響率は大きく変わっていきます。

ポスティングでの宣伝効果・集客効果を最大限に発揮できるよう、まずは自社製品・自店舗のターゲットの絞り込みから始めてみましょう。